マズローの欲求5段階説というものです。
有名な心理学者、マズロー氏が提唱している人間の根底にある欲求は5段階あり下から叶えていこうとする。という説です。
退職時面談ということを続けてきた
この仕事をしていると「辞める人の面談」をすることがあります。
前職からカウントすれば100人以上の辞める人の話を聞いてきたことになります。
職員間でトラブルがあったり、院長と馬が合わないなど雰囲気があるなかで、
急に「退職を申し出てくる」ことは、多くの院長が経験されていると思います。
そこで、離職が起きる元の元に気が付きました。
辞める1位と2位は僅差だった。
なぜ辞めるのか?を聞くと。ざっくり下記のとおりです。
※感覚的な統計ですいません。
40% 人間関係が苦痛で辞める
35% ルールがないから辞める
10% 先が見えないから
5% その他
しかし、これは「きっかけ」に過ぎないことも面談をしていて気が付きました。
離職する「元の元」があった。
人間関係トラブルは、気が合わないだの、言った言わない、入職時期の違いによるグループ化などなど。
様々な理由で起きるものだが、「起きたことが退職につながる」わけではないようです。
つまり、離職するきっかけはよく聞く話しで合っているように思いますが、
実際の離職する問題の「元の元」は少し違うところにありました。
離職対策の失敗事例→コミュニケーション研修だった!
昔に苦い経験がありました。
あるスタッフが仲が悪いとの要望でコンサルティングを引き受けたのですが、
しっかりとスタッフにヒアリングする時間が取れずに、院長からのヒアリングのみで対応した案件がありました。
スタッフ同士が仲が悪いから仲良くなるコミュニケーション研修をやって欲しい。
こうした強い要望からコミュニケーション研修を実施したのですが、
まったく、効果が出ないのです!
それどころか・・悪化しているような。
すぐにスタッフ、ひとりひとりに個別面談をさせてもらうと、
ある事に気が付いたのです。
もっと根源的な「存在が守られていない」のが問題だった。
仲良くなる為にコミュニケーションを重ねる前に、
人として「相手を尊重し、攻撃しない、受け入れる」という約束が無ければ、
何回もコミュニケーションを重ねても【ヒエラルキーが深まるだけ】だったのです。
つまり、きちんとした対等感や個々が守られる環境にないと、
多くの人は「自分を守る」行動に出るだけだったのです。
精神的な苦痛が退職の原因である
トラブルが起きたときに「悪口」「陰口」などといった精神的な苦痛による退職が原因なのである。
もし、トラブルがあっても、お互いが言い合える関係だったり、コミュニケーションが取れていたりすると、
いつもよくケンカしている職員たちだなぁで済んでしまう。
つまり、自分の存在を脅かされる状況にある。ということが問題なのです。
これが「安心安全」を脅かしているということです。
もうひとつがルールです。
職員トラブルの中で起きているのがルールが無かったり、暗黙の了解になったりしていると、
公平感が損なわれて、意見を出すのが弱い人は居づらくなります。
また、「労務」というルールが明確でない場合、例えば有給について院長がはっきりと提示していない。
残業代が何分から出るのか?なども曖昧だったりすると、不信感につながります。
これは「安心して働ける」環境ではありません。
院長の視点ではなく働く人の視点での安心安全を
このような話をすると、たびたび院長から「常識的に考えて・・・」や、「給料を与えているのに」という発言が出ますが、私はきっぱりと考えが違うことをお伝えします。
役割が違うメンバーをまとめるのも経営者の務めであり、
また、そのメンバーたちが活躍しやすくする環境つくりも経営者の務めだと思うからです。
だからこそ、スタッフがどのように感じるか?にアンテナをはって安心安全の環境を用意する必要があります。
離職防止のとにかく最初は「安心安全の確保」
とにかく、どのコンサルティングに入っても、まず第一に安心安全の確保をすることで、
とても離職防止につながるという結果が出ています。